PNFとは?

PNF…Proprioceptive Neuromuscular Facilitation 固有受容性神経筋促通法の略で、1940年代、アメリカにおいて神経生理学者Dr. Herman Kabatと理学療法士Margaret Knottにより確立されたリハビリ手技のひとつです。筋肉や皮膚・関節などにある“センサー”をセラピストが徒手的に刺激し、一対一で一緒に身体を動かしていくことで、病気による身体の各機能の障害を改善していきます。
本来は主に脳卒中やパーキンソン病など神経障害の治療として使われてきましたが、現在では他にも腰痛、関節症、スポーツ障害といった整形外科的疾患など、幅広い分野で治療手技として用いられています。 

 

PNF発祥のKaiser Foundation Rehabilitation Center では、病院内に自宅を想定したスタジオ、移乗練習用の乗用車なども置かれています。アメリカの保険制度は日本と異なり、医療費が高く入院期間が非常に短いので、脳卒中などでも3週間程度で自宅に帰るということが珍しくありません。それまでの間にできることは自分でやる、という自立への意識が高く感じられます。自立支援を目標とした介護保険制度においてもPNFは有用であると考えています。

スーパーバイザー:国際PNF協会認定インストラクター  勝浪省三 先生

 

 

人の体は筋肉が収縮することで運動ができます。そして、筋肉の力;筋力は交通事故、脳卒中、腰痛などが原因で弱くなることがあり、動作や仕事に支障をきたします。筋力を改善するには医学的な原理原則(過負荷の原則、特異性の原則)があり、その原則に沿ってセラピストの手で丁寧に評価治療していく方法がPNFです。機械や道具で行う筋力トレーニングと異なり熟練された手で行いますので、とても弱い人にもその状態に合わせて、心地よく運動ができます。ただ筋力を改善するだけではなく、困っている日常生活の動作に合わせた運動パターンを選択することで、より短時間で動作の改善を図ることが可能です。また、PNFは筋力を改善するだけではなく、筋肉の痛みや硬さに対しても改善するテクニックがあり、総合的に体の問題を解決する治療概念といえます。私がPNFと出会って既に20年近くになりますが、出会う前は患者様に何をどうして運動させれば良いのかよく分らず接していました。しかし、カイザー病院でPNFを学び自分の成長がとんでもなく進み、患者様の変化もとても大きいものになりました。人間の体の原理を最大限に活かしたこの方法を多くの方に感じて頂きたいと思います。

 

 

 

PNFパターンの紹介

寝返りのPNFパターン。はじめは介助したり誘導したりします。とても大切な基本動作です。

その方の能力に応じて抵抗をかけることもあります。「かけ声」の強弱やリズムなども重要な促通要素で、セラピストも一緒に動くのでみなさん頑張ることができます。

下肢のPNFパターン。筋力強化運動や歩行の準備としても使われます。仰向けや横向きなど、状態に応じて向きを変えて行うこともできます。

体幹のPNFパターン。身体の中心にある体幹は、様々な動作、歩行、呼吸機能などにも影響を与えます。上手に鍛えていくことが求められます。

上肢のPNFパターン。筋力強化運動や日常生活に必要な上肢の機能強化として行うこともあります。

PNF前方歩行。はじめは体重移動の練習やステップの練習を行います。レベルによってうしろから抵抗を加えたり、リズムをとったりしながら歩行の安定性を高めていきます。

PNF側方歩行。ほかにも後方歩行やハイステップなど応用歩行もあります。